神奈川県、横浜市、鎌倉市、逗子市の4県市では、「武家の古都・鎌倉」のイコモスによる不記載勧告、推薦取り下げ後、「鎌倉」の価値を再度掘り下げ、確認するため、平成26年度から比較研究を中心とした基礎的な調査研究を実施しています。その成果を連続講座(平成27年度は全3回)として中間報告しました。

比較研究の必要性

比較研究とは?

何を比較するのか?

現在までの比較研究の進捗状況

第3回の内容

第3回は、平成28年3月27日(日曜日)に、「大仏様の来た道」をテーマにして、大仏殿高徳院境内を見学し、その後、客殿でスライド等を使いながら、鎌倉大仏の歴史や特徴、さらに発掘調査結果等についての説明を行いました。

第3回は、天候にも恵まれ103名の方が参加されました。

大仏01

境内での実地解説の様子


大仏02


大仏04


大仏03

【第2部】中間報告

鎌倉国宝館副館長の内藤浩之より平成26年度、27年度に実施している比較研究についてスライド等を用いながら以下の報告を行いました。

  • 鎌倉大仏との比較研究先である中国の雲崗石窟、龍門石窟、敦煌莫高窟、楽山大仏、大足石刻について、調査地の概要の説明。
  • 大仏の定義について、仏像の大きさを経典等に書かれたことから読み解いた説明。調査対象は10m前後以上とした。
  • 鎌倉大仏と比較研究を行った中国の作例との比較についての報告。
  • 大仏の来た道としては、北伝ルートと南伝ルートがあるが、仏教及び仏像が発生したインドには大仏がほとんど存在せず、聖地に対する周辺意識や権力・経済力が大仏の造像に大きく関係していると考えられる。
大仏スライド02

高徳院 佐藤ご住職よりご挨拶


客殿

100名以上の参加者で熱気のみなぎる会場内(客殿)


鎌倉国宝館内藤副館長

鎌倉国宝館 内藤副館長によるスライド解説

現時点のまとめと課題としては、以下の点が挙げられます。

  1. 鎌倉大仏は北伝ルートで伝来した巨大仏信仰のアジア東端の作例として貴重であること。
  2. 課題として、国内作例との比較や大仏造立にかかわる思想、配置、礼拝者との関係をさらに研究していく必要があること。

>>連続講座第1回「鎌倉から始まった禅宗寺院」の実施結果について
>>連続講座第2回「禅宗様建築の成立と発展」の実施結果について
>>連続講座第4回「やぐらの広がり」の実施結果について