Author: 神奈川県・横浜市・鎌倉市・逗子市世界遺産登録推進委員会 (page 1 of 3)

冊子「鎌倉の価値を考える ~世界遺産登録に向けた比較研究から見えたもの~」について

神奈川県・横浜市・鎌倉市・逗子市世界遺産登録推進委員会では、「鎌倉」の世界文化遺産への再推薦・登録に向けた普及啓発事業の一環として、平成27年度(2015年度)から28年度(2016年度)に実施した比較研究の連続講座及び報告会の内容をまとめた冊子を平成30年(2018年)に発行しました。

これらの内容に加えて、平成29年度(2017年度)に開かれた学術会議の内容を加筆した冊子を、令和2年(2020年)3月に発行しました。

この冊子は、下記からダウンロードしてご覧いただくことができます。
●鎌倉の価値を考える ~世界遺産登録に向けた比較研究から見えたもの~【2020年版】(PDF:12.4MB)

※ファイルサイズが大きいため、ご利用の環境によってはダウンロードに時間がかかる場合があります。

鎌倉の価値を考える(表紙)

(表紙画像)


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冊子「やぐらの起源をさぐる」について

神奈川県・横浜市・鎌倉市・逗子市世界遺産登録推進委員会では、「鎌倉」の世界文化遺産への再推薦・登録に向け、様々な取組を行っています。

平成26年度から28年度の3年間をかけ、新たなコンセプト構築に向けた土台作りとして、比較研究を中心とした基礎的な調査研究を実施しました。また、普及啓発活動の一環として、研究成果を報告する連続講座及び報告会を7回に渡り開催しました。

このたび、連続講座の特別編として、平成30年3月31日に鎌倉商工会議所で古田土俊一氏(浄光明寺執事・什宝物調査整理係、鶴見大学非常勤講師、NPO法人鎌倉考古学研究所 所員。博士(文化財学))にご講演いただいた内容を冊子として取りまとめました。

この冊子については、下記からダウンロードしてご覧いただくことができます。
●『「鎌倉の文化財、その価値と魅力~比較研究から見えたもの~」連続講座特別編「やぐらの起源をさぐる」』(PDF:2MB)

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やぐらの起源をさぐる05-16_表紙

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本文全23ページ。冊子全体をPDFとして掲載します。


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【受付終了】「鎌倉の文化財、その価値と魅力~比較研究から見えたもの~」連続講座特別編「やぐらの起源をさぐる」を開催します

「鎌倉」の世界文化遺産への再推薦・登録に向け、神奈川県・横浜市・鎌倉市・逗子市世界遺産登録推進委員会では「武家の古都・鎌倉」のイコモスによる不記載勧告、推薦取り下げ後、「鎌倉」の価値を再度掘り下げ、確認するため、平成26年度から比較研究を中心とした基礎的な調査研究を実施し、研究成果を連続講座として市民、県民への周知を図って参りました。この度、連続講座特別編として、鎌倉に特有の文化財である「やぐら」について、平成29年度に実施した比較研究の内容を報告するとともに、やぐらの実態を広く説明する講演会を開催します。併せて、高校生による、鎌倉に関する研究発表も行います。

◆開催日…平成30年3月31日(土)午後1時から3時30分まで(開場は午後0時30分)
◆場所…鎌倉商工会議所 地下ホール(鎌倉駅西口徒歩5分)
◆講演者…古田土俊一さん(浄光明寺執事・什宝物調査整理係、NPO法人鎌倉考古学研究所 所員)
◆申込方法…①催事名「やぐらの起源をさぐる」②氏名(ふりがな)③住所④連絡先(電話番号、ファックス番号、Eメールアドレス)⑤複数名の場合、同行者の名前(ふりがな)を記載し、ファックス、Eメールでお申し込みください。
◆問合せ先…鎌倉市歴史まちづくり推進担当…電話 0467(61)3849
◆申込先…同上…FAX 0467(23)1085
Eメール rekimachi@city.kamakura.kanagawa.jp
◆申込受付終了日…定員になりましたので、受付を終了します。(先着120名)
◆参加料…無料

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「やぐらの起源をさぐる」チラシ

参加申込書

第46回(平成29年度)文化財保護ポスター事業について

第46回「文化財保護ポスター事業」の入賞作品が決定しました!

神奈川県教育委員会では、次代を担う子どもたちに文化財を守る心を育んでもらうため、県内の中学生を対象に、「わたしたちの文化財」及び「世界遺産登録をめざす鎌倉」(神奈川県・横浜市・鎌倉市・逗子市世界遺産登録推進委員会共催)をテーマとする「文化財保護ポスター事業」を実施しています。

入賞作品の表彰式について

46回目となる今回は、956点にのぼる多数の応募がありました。厳正な審査が行われ、11月3日(金)、地球市民かながわプラザ(横浜市栄区小菅ケ谷1−2−1)において入賞作品の表彰式が行われました。

表彰式のようす

表彰式の様子

入賞作品の展示も行われました

入賞作品の展示も行われました

入賞者・入賞作品について

「世界遺産登録をめざす鎌倉」部門
最優秀賞:厚木市立荻野中学校2年 森下 慧璃(もりした えり)さん
題材:荏柄天神社、鶴岡八幡宮、光明寺、鎌倉大仏(神奈川県)

世界遺産登録をめざす鎌倉部門最優秀賞作品

「わたしたちの文化財」部門テーマ1「文化財保護」
最優秀賞:逗子市立久木中学校3年 外岡 枝里子(とのおか えりこ)さん
題材:国宝 木造菩薩半跏像(奈良県中宮寺)

わたしたちの文化財部門テーマ1最優秀作品

「わたしたちの文化財」部門テーマ2「私のまちの文化財」
最優秀賞:厚木市立小鮎中学校3年 古谷 未緒(ふるや みお)さん
題材:県指定無形民俗文化財 牛込の獅子舞、国指定重要文化財 木造舞楽面(陵王、抜頭)、県指定無形民俗文化財 鉄の獅子舞(神奈川県)

わたしたちの文化財部門テーマ2最優秀作品

※入賞者一覧は神奈川県公式ホームページにてご覧いただけます。

「文化財保護ポスター展」について

県内の中学生を対象に「わたしたちの文化財」及び「世界遺産登録をめざす鎌倉」をテーマとして募集した作品のうち、入賞作品52作品を次のとおり展示いたしますので、ご覧ください。

ハーモニーホール座間(座間市緑ケ丘1-1-2)
平成29年11月14日(火曜日)から11月17日(金曜日)9時から17時
※11月14日(火曜日)午前は搬入、11月17日(金曜日)午後は搬出のため、展示は行いません。

鎌倉市地下道ギャラリー(鎌倉駅の東西を結ぶ地下道にある展示スペース)
平成29年11月21日(火曜日)から11月27日(月曜日)
※11月21日(火曜日)午前は搬入、11月27日(月曜日)午後は搬出のため、展示は行いません。

文化財保護ポスターについて

神奈川県には、由緒ある建造物、貴重な美術工芸品、民俗芸能、史跡・名勝、天然記念物など様々な文化財が数多く残されています。文化財は私たちの文化や歴史を知る上で大切なものです。また、神奈川県・横浜市・鎌倉市・逗子市世界遺産登録推進員会では、「鎌倉」の世界遺産への再推薦・登録に向け、様々な普及啓発活動を行っています。

文化財を守り後世に伝えていくためには、次代を担う子どもたちに文化財を守る心や豊かな感性を育んでもらうことに加えて、「鎌倉」の世界遺産再推薦・登録への関心を高めてもらうことも重要となります。

このような考えのもと、県内の中学生から「世界遺産登録をめざす鎌倉」や「文化財保護」をテーマにしたポスターを募集し、最優秀作品をポスターにして県内に広く配布することや、入賞作品によるポスター展を開催することで、広く普及啓発活動を行っています。

なお、「わたしたちの文化財(テーマ1)」部門及び「世界遺産登録をめざす鎌倉」部門の最優秀作品をポスター化し、県内の中学生や社寺、文化施設等に配付し、掲示していただきます。

文化財保護ポスターに関する神奈川県の公式ページ

(募集終了)報告会「鎌倉の文化財、その価値と魅力~比較研究の成果とこれからの課題~」参加者募集について

「鎌倉」の世界文化遺産への再推薦・登録に向け、神奈川県・横浜市・鎌倉市・逗子市世界遺産登録推進委員会では「武家の古都・鎌倉」のイコモスによる不記載勧告、推薦取り下げ後、「鎌倉」の価値を再度掘り下げ、確認するため、平成26年度から比較研究を中心とした基礎的な調査研究を実施してきました。

この度、比較研究結果について報告するとともに、社寺関係者や国内学識者等を招いてパネルディスカッションを開催いたします。併せて、高校生による、鎌倉に関する研究発表も行う予定です。

 

◆開催日・・・平成29年2月11日(土・祝)午後1時から4時まで(開場は午後0時30分)

◆場 所・・・鎌倉生涯学習センター(きらら鎌倉)ホール

◆パネリスト(予定)・・・朝比奈惠温さん(浄智寺住職)、大三輪龍哉さん(浄光明寺住職)、田中密敬さん(極楽寺住職)、藤井恵介さん(東京大学大学院教授) 、河野眞知郎さん(鶴見大学名誉教授)他

◆申込方法・・・
①催事名「比較研究の成果とこれからの課題」
②氏名(ふりがな)
③住所
④連絡先(電話番号、ファックス番号、Eメールアドレス)
⑤複数名の場合、同行者の名前(ふりがな)
を記載し、Eメール、ファックスでお申し込みください。

◆申込先・・・鎌倉市歴史まちづくり推進担当
(神奈川県・横浜市・鎌倉市・逗子市世界遺産登録推進委員会事務局)
電話 0467(61)3849  FAX 0467-23-1085
Eメール・・・rekimachi@city.kamakura.kanagawa.jp

◆申込受付終了日・・・平成29年2月8日(水)必着
(先着240名。定員になり次第締切)

◆参加料・・・無料

報告会チラシはコチラ

申込用紙はコチラ

(募集終了)連続講座「鎌倉の文化財、その価値と魅力~比較研究から見えたもの~(中間報告)」第5回「鎌倉の神社について~鶴岡八幡宮を中心として~」参加者募集

神奈川県、横浜市、鎌倉市、逗子市の4県市では、「武家の古都・鎌倉」のイコモスによる不記載勧告、推薦取り下げ後、「鎌倉」の価値を再度掘り下げ、確認するため、平成26年度から比較研究を中心とした基礎的な調査研究を実施しています。平成27年度に引き続き、その成果を連続講座として中間報告します。

今回は、第5回として「鎌倉の神社について~鶴岡八幡宮を中心として~」をテーマに、鶴岡八幡宮境内で本宮や舞殿などの外観を実地に解説し、その後、横浜国大附属鎌倉中学校に移動し、スライド等を使いながら国内類似資産との比較研究成果について報告します。ぜひご参加ください。

【第5回の詳細】
1 開催日時 平成28年12月25日 日曜日 午前10時から正午
2 開催場所 【実地解説】鶴岡八幡宮(鎌倉市雪ノ下2-1-31)
       【報告会】横浜国大附属鎌倉中学校 会議室(鎌倉市雪ノ下3-5-10)
3 募集人数 100人
4 参加費  無料

【応募チラシ】
ダウンロードしてご覧いただけます。
連続講座チラシはこちら(PDF:335KB)
申込書はこちら(PDF:67KB)

【応募方法】 
住所・氏名(同伴者含む)・電話番号・ファックス番号またはEメールアドレス(あれば)を記載の上、郵送、ファックス、Eメールか直接窓口、12月12日(必着)までに鎌倉市歴史まちづくり推進担当へ。 

●電話: 0467-61-3849
●FAX: 0467-23-1085
●住所:〒248-8686 鎌倉市御成町18-10
●E-mail:rekimachi@city.kamakura.kanagawa.jp

応募者多数の場合は抽選。結果は12月16日までに応募者全員に通知します。
なお、抽選は申込みいただいたグループ単位で行います。

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講演会「歴史的遺産と共生する、これからのまちづくり」の講演記録について

平成27年度、神奈川県・横浜市・鎌倉市・逗子市世界遺産登録推進委員会では「鎌倉」の世界文化遺産への再推薦・登録に向けた普及啓発事業の一環として、「歴史的遺産と共生する、これからのまちづくり」をテーマにした講演会を平成28年2月11日に開催しました。
実施結果についてはこちら
(講演会「歴史的遺産と共生する、これからのまちづくり」の実施結果について)

このたび、講演記録をまとめました。
講演記録は、ダウンロードしてご覧いただくことができます。

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連続講座第4回「やぐらの広がり」の実施結果について

神奈川県、横浜市、鎌倉市、逗子市の4県市では、「武家の古都・鎌倉」のイコモスによる不記載勧告、推薦取り下げ後、「鎌倉」の価値を再度掘り下げ、確認するため、平成26年度から比較研究を中心とした基礎的な調査研究を実施しています。その成果を連続講座として中間報告しました。

第4回の内容

平成27年度に続く第4回は、平成28年6月26日(日曜日)に、「やぐらの広がり」をテーマにして、鎌倉独特の宗教空間を構成する希有な遺構であるやぐらについての説明を行いました。午前の部・午後の部ともに定員を大幅に上回る応募があり、初夏の暑い中、大勢の方が参加されました。

浄光明寺境内にて。大勢の方が参加されました

浄光明寺境内にて。大勢の方が参加されました

ご住職と参加者

浄光明寺の大三輪御住職のお話に熱心に耳を傾ける参加者の方々

あじさいとやぐら

階段を上って、いざ、網引地蔵やぐらへ

階段を上って、いざ、網引地蔵やぐらへ

網引地蔵やぐら内部の様子

網引地蔵やぐら内部の様子(通常は内部の立入禁止)

逗子市教育委員会 佐藤仁彦による実地解説

逗子市教育委員会 佐藤仁彦係長による実地解説

やぐらの入口の様子

やぐらの入口の様子

【第2部】中間報告

逗子市教育委員会の佐藤仁彦係長より、27年度に実施した比較研究結果についてスライド等を用いながら以下の報告を行いました。

やぐらとは何か?
  • 切り落とした崖面に平面方形(長方形)の横穴を掘り、石塔や石仏を建てて供養する中世の石窟。
  • 床面や石塔内に穴を穿って納骨するものが多い。
  • 規模が大きく、仏殿や座禅窟等として機能したと考えられる窟もある。
  • 主として13世紀後半頃から15世紀頃に営まれた(後世まで供養が続く例もある)。
やぐらの構造
  • 出入口にあたる羨道、平面方形もしくは長方形の玄室(主室)を持つのが一般的。
  • 天井部は平天井が主で、切妻屋根を模した家型(船底型)等もある。
  • 床面は平坦で、奥壁・側壁に沿って壇を設ける場合もある。
  • 壁近くあるいは玄室中央の床面に穴をあけ、納骨して石塔や石仏を建てる。 壁面に石塔等をレリーフする例もあるが少ない。
  • 壁面は基本的に垂直。奥壁や側壁に龕や長押状の掘り込みを作り納骨する場合もある。
  • 木製扉等で閉塞した痕跡、内部に柱や梁を設け木造堂としたと思われるものもある。
三方に壇を持つやぐらの例(まんだら堂やぐら群)

三方に壇を持つやぐらの例(まんだら堂やぐら群)

図1_600x530

国内の中世石窟遺構の分布
  • 上総・安房(千葉県富津市、館山市、南房総市他)多数
  • 陸奥(宮城県松島町)瑞巌寺ほか
  • 加賀(石川県小松市)滝ヶ原町八幡神社
  • 能登(石川県志賀町)地頭町中世墳墓窟
  • 越中(富山県高岡市)円通庵遺跡
  • 豊前(福岡県豊前市)如法寺、夫婦木ほか
  • 豊後(大分県大分市)曲石仏、少林寺、(大分県豊後大野市)普済寺跡ほか
中世石窟遺構分布図

中世石窟遺構分布図

寺院境内の例(東林寺跡)

寺院境内の例(東林寺跡)

山稜部に群在するやぐらの例(まんだら堂やぐら群)

山稜部に群在するやぐらの例(まんだら堂やぐら群)

上総・安房(千葉県)のやぐら

図9_600x440

やぐらの分布詳細図

やぐらの分布詳細図

千手院やぐら群(館山市)

千手院やぐら群(館山市)

善性寺やぐら群(南房総市)

善性寺やぐら群(南房総市)

水岡やぐら群(館山市)古墳時代の横穴を利用したやぐら

水岡やぐら群(館山市)古墳時代の横穴を利用したやぐら

七ツやぐら群(南房総市)山稜部に群在するやぐら

七ツやぐら群(南房総市)山稜部に群在するやぐら

陸奥(宮城県)のやぐら

図13_600x440

円通院洞窟群(松島町)

円通院洞窟群(松島町)

雄島(松島町)

雄島(松島町)

加賀・能登・(石川県)、越中(富山県)のやぐら

図16_600x440

滝ヶ原八幡神社(小松市)

滝ヶ原八幡神社(小松市)

地頭町中世墳墓窟(志賀町)

地頭町中世墳墓窟(志賀町)

豊前(福岡県)・豊後(大分県)のやぐら

図19_600x600

夫婦木(豊前市)

夫婦木(豊前市)

曲石仏(大分市)

曲石仏(大分市)

普済寺跡(豊後大野市)

普済寺跡(豊後大野市)

整然とした玄室内部(普済寺跡)

整然とした玄室内部(普済寺跡)


国内各地の遺構を通観して

  • 形態的な異同もあるが、基本的にやぐらと同様の性格を有すると考えられる遺構が各地に存在することを確認した。
  • 寺院との関わりを想定できる遺構や、水陸交通の要衝に立地する遺構が多く、それらの地域と鎌倉の関係が深いものと推測されるが、必ずしも明確ではない。
  • 房総を除き、鎌倉のように長期にわたって広範に造営されることはなく、一時的、局地的もしくは単発的なものに留まった。

現時点のまとめ

やぐらは、供養を主目的として中世の鎌倉とその周辺地域に盛行した施設で、鎌倉との何らかの関係性(法脈等)を足掛かりにこれを採用した地域もあったが、各地に広く拡散(普遍化)することはなかった。
やぐらは、谷戸-山稜部の自然地形を活かしつつ形成された、鎌倉に独特の宗教空間を構成する稀有な遺構である。


>>連続講座第1回「鎌倉から始まった禅宗寺院」の実施結果について
>>連続講座第2回「禅宗様建築の成立と発展」の実施結果について
>>連続講座第3回「大仏様の来た道」の実施結果について

講演会「歴史的遺産と共生する、これからのまちづくり」の実施結果について

「鎌倉」の世界文化遺産への再推薦・登録に向け、神奈川県・横浜市・鎌倉市・逗子市世界遺産登録推進委員会では、平成27年度の普及啓発事業の一環として、「歴史的遺産と共生する、これからのまちづくり」をテーマにした講演会を平成28年2月11日に開催しました。
当日は、「鎌倉」がこれから取り組むべきことについて、文化財保存修理会社社長で観光や文化財の活用について多くの著作があるデービッド・アトキンソン氏に、たいへん興味深い講演をしていただきました。
また、社寺関係者等とのパネルディスカッションを通じて、これからのまちづくりに必要な課題を抽出することができました。さらに、県立鎌倉高等学校の生徒さんたちによる、「かまくら学」の研究発表も行われ、活気に満ちた講演会となりました。

【日時】平成28年2月11日(木曜日・祝日)午後1時~4時
【会場】鎌倉生涯学習センター ホール
【参加者人数】170名(申込受付人数193名)

小林昭会長

4県市世界遺産登録推進委員会会長、小林昭(鎌倉市副市長)による開会の挨拶

第1部 「かまくら学」の成果発表

講演会は3部構成で行われました。
第1部は、神奈川県立鎌倉高等学校生徒3名が、「かまくら学」の成果発表を行いました。「かまくら学」とは、武家の古都鎌倉に位置する県立鎌倉高等学校により「県立高校における『かながわ学』のシステムづくり」というテーマで始まった研究です。具体的な活動としては、鎌倉の歴史・文化や産業・交通など、さまざまな角度からの鎌倉研究を行うほか、遺跡の保存活動等に係るボランティア活動や鎌倉祭りへの参加など、地域との協働による活動を行っています。
3名の生徒はそれぞれ、次のテーマについてスライドを用いて発表しました。

村山さん「古民家の魅力にせまる」
宮城さん「鎌倉と環境・資源・エネルギー」
飯田さん「『吾妻鏡』について」
(神奈川県立鎌倉高等学校)

村山さん

村山さん 古民家の魅力を、興味深く取り上げてくれました

>>村山さんの発表資料「古民家の魅力に迫る」(PDF:256KB)


宮城さん

宮城さん 環境やエネルギーといった多面的な要素が盛り込んでくれました

>>宮城さんの発表資料「鎌倉と環境・資源・エネルギー」(PDF:540KB)


飯田さん

飯田さん 「吾妻鏡」について掘り下げた調査をしてくれました

>>飯田さんの発表資料「『吾妻鏡』について」(PDF:232KB)


第2部 アトキンソン氏による講演

株式会社小西美術工藝社社長で、観光や文化財の活用について多くの著作があるデービッド・アトキンソン氏に講演いただきました。

>>アトキンソン氏のプロフィール(PDF:136KB)

アトキンソン氏その1

アトキンソン氏の講演の主旨

  • 日本は人口が急激に減っているため、今までのやり方では収入を維持できない。そこで観光収入を伸ばすことが解決策になる。観光の視点からも歴史的遺産や文化財を活かすことが重要になってくる。
  • 観光資源(文化財など)を発信するだけでなく、磨く必要がある。見る人の立場に立って丁寧に説明しないとその素晴らしさは伝わらない。
  • 鎌倉のまち並みは工夫する必要がある。来てもらう人へのサービスとして建物の表だけでも工夫した方がよい。鎌倉のまち並みを歩いて中世を感じる人はいない。古都として復元できるものはした方がいいのではないか。
  • 鎌倉は中世の歴史の宝庫といっているが、それを説明する場所があってしかるべき。音声やパネル、動画など。
  • 歴史の舞台としての神社仏閣で、その価値の説明がきちんとされているかというとまだまだである。建物の説明であれば、技術的なこと、何でできているなどの説明に終始していることが多い。その本質や意味合いなど、人間を中心とした説明をすべき。
  • 解説の意味合いは満足だけでない。滞在時間も長くなるので、観光収入が増える。
  • 観光の一番のポイントは多様性である。鎌倉はもともとの資源はたくさんある。文化財だけではなく、自然や海、街並み、博物館などを整備して楽しみを増やしていけばよい。
  • 説明板などについて、英語表記さえあればよいというものではない。中身がなければだめ。鎌倉の歴史の良さを理解してもらうためのセリフ作りが重要である。
  • よくごみ箱を設置せず「ごみを持って帰りましょう」というが、人を家に呼んでもてなして、帰りにごみを渡すことをするだろうか。鎌倉で消費したものを、東京や、まして外国まで持って帰れというのはご都合主義でおかしい。

 

アトキンソン氏02

興味深いデータを駆使して、鎌倉のこれからについて講演されるアトキンソン氏


第3部 パネルディスカッション

第3部では、アトキンソン氏の講演を受けて、社寺関係者の方々や「かまくら学」の成果発表を行った生徒3名によるパネルディスカッションを行いました。パネリストの方々は以下の通りです。

デービッド・アトキンソン氏(株式会社小西美術工藝社社長)
佐藤孝雄氏(鎌倉大仏殿高徳院住職)
朝比奈惠温氏(浄智寺住職)
仲田順昌氏(覚園寺副住職)
加藤健司氏(鶴岡八幡宮教学研究所所長)
村山さん(神奈川県立鎌倉高等学校)
宮城さん(神奈川県立鎌倉高等学校)
飯田さん(神奈川県立鎌倉高等学校)
コーディネーター 桝渕規彰(鎌倉市歴史まちづくり推進担当担当部長)

 

パネリスト

8名のパネリストによるディスカッションの様子

アトキンソン氏の講演を受けての感想・意見

村山さん
おもてなしを動機に観光する人はいないということに納得した。鎌倉の歴史をまずは自分がしっかり勉強して、来る人に伝えられるようにしなければならない。

宮城さん
説明板は、まず日本人が見てよいと思えるパネルにしないといけない。鎌倉駅を出てすぐ古都を感じられない、鎌倉に来たと感じさせるまち並みが必要という意見に共感する。

飯田さん
日本遺産で今あるものを磨いて世界遺産を目指すとよい。

佐藤氏
誤解を恐れずに発言させて頂くなら、自分たちが暮らすまちの価値は自分たちではわからない。その評価には他者の目が必要ということに改めて気付かされた。ただ、本講演会の主題であるまちづくりを観光資源化という観点のみから論じることには疑問も感じざるを得ない。

朝比奈氏
わかっていること、やればできるが先送りにしていることについての指摘が多かった。ただ、宗教者として譲れないところもある。

加藤氏
八幡宮ではすでに国際課を設置し、英語での教化の広報の取組を始めている。

仲田氏
多くを語らない鎌倉にあって、覚園寺は多くを語る寺。ガイド協会にも協力いただき、寺の境内を案内する参拝方式を30年続けている。世界遺産になってもならなくても寺として守るものは変わらないと考えていたが、ダメと言われると悔しい、良いと言ってほしいという気持ちもある。

パネリスト02

左から、飯田さん、宮城さん、村山さん、仲田氏、加藤氏、朝比奈氏、佐藤氏、アトキンソン氏、桝渕部長


「日本の拝観料は諸外国に比べて安い」
というデータ(アトキンソン氏)についての意見

アトキンソン氏
日本は今まで安売りで人を多く集めることに重点を置いてきた。高くして、人数が減ったとしても高くした分すべて減ることはない。増収になる。その分、文化財の保護やサービスの充実にお金を回せる。説明については、来る人がどう思うかということが重要。多様性があってしかるべきなので、社寺によって説明の多い少ない、拝観料の高い、安いも選択肢があってよいとは思う。

加藤氏
寺院は檀家さんと一定の関係を保ってきた場所かもしれないが、神社は鎮守とか産土うぶすな
というように地域とかかわりを持つ場所であり、拝観料はとらないのが通例。特別な例としては日光東照宮がある。

朝比奈氏
国際水準に合わせて高くすればよいというものではないと思う。来る人に対して親切にしていくことで、価値を理解して喜んで来ていただけるようにしたい。満足感をどう持っていただくかである。

佐藤氏
高徳院は鎌倉で最初に有料拝観を始めた寺院。もっとも、有料拝観の開始以来、入場料は一貫してJR(旧国鉄)の入場料と同程度に抑えている。大仏像は文化財であると同時に、信仰の対象でもある。それだけに単に観光資源化の成否という観点から拝観料を云々することは慎むべきであろう。

アトキンソン氏
信仰の議論は海外でもある。ウエストミンスター寺院では昔は拝観料をとらなかったが、文化財として維持できなくなってきて任意で取ることになった。しかし払う人がおらず、結局強制になった。ただ、信仰する人だけが無料で入れる時間を設け、その時間は観光客は一切入れないようにしている。

パネリスト03

熱気あふれるディスカッションは、1時間近くにも及びました


松尾市長による閉会の挨拶

講演会の最後に、鎌倉市市長の松尾崇が「鎌倉の文化財をしっかり守り、より良いまちづくりにつなげていくというために、この講演会がとても良い機会になったと思っております。」と挨拶を述べて閉会しました。

松尾市長

松尾市長による閉会の挨拶


>>(募集終了)講演会「歴史的遺産と共生する、これからのまちづくり~世界遺産のあるまちをめざして~」参加者募集について

(募集終了)連続講座「鎌倉の文化財、その価値と魅力~比較研究から見えたもの~(中間報告)」第4回「やぐらの広がり」参加者募集

神奈川県、横浜市、鎌倉市、逗子市の4県市では、「武家の古都・鎌倉」のイコモスによる不記載勧告、推薦取り下げ後、「鎌倉」の価値を再度掘り下げ、確認するため、平成26年度から比較研究を中心とした基礎的な調査研究を実施しています。平成27年度に引き続き、その成果を連続講座として中間報告します。
今回は、第4回として「やぐらの広がり」をテーマに、浄光明寺境内でやぐらを実際に見学し、その後、客殿にてスライド等を使いながら国内外類似資産との比較研究成果について報告します。ぜひご参加ください。

【第4回の詳細】
1 開催日時 平成28年6月26日 日曜日 午前10時から正午、午後1時から3時の2回開催
2 開催場所 浄光明寺(鎌倉市扇ガ谷2-12-1)
3 募集人数 各50人
4 参加費  無料(拝観料200円が必要。)

【応募方法】
希望時間、住所・氏名・電話番号・ファックス番号またはEメールアドレス(あれば)を記載の上、郵送、ファクス、Eメールか直接、6月15日(必着)までに鎌倉市歴史まちづくり推進担当へ。
(電話:0467-61-3849、FAX: 0467-23-1085、E-mail:rekimachi@city.kamakura.kanagawa.jp)
応募者多数の場合は抽選。結果は6月18日までに応募者全員に通知します。なお、抽選は申込みいただいたグループ単位で行います。

連続講座第4回チラシはこちら

申込書はこちら

kyakuden 浄光明寺客殿

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浄光明寺庭園の切岸

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